外科的歯内療法~歯内療法最後の砦~
外科的歯内療法は、
「非外科的治療では解決できない場合に行う最終手段」と思ってください。
外科治療になれば難易度は高くなり、知識や技術を求められます。
ご自身の歯より優れているものはありませんので、当院では外科的治療が必要な場合は精密歯内療法の技術を駆使して、歯を残すための治療を行います。
従来の外科的歯内療法の成功率は60%程度と高くはなく、予知性の高いと言える治療ではありませんでした。
しかし、近年ではCBCT、マイクロスコープ、超音波器具、MTAセメント、バイオセラミックスを用いたモダンテクニックによる外科的歯内療法の成功率は90%以上との研究結果が多く見られます。
外科的歯内療法が必要となる臨床的要因としては、非外科的歯内療法では除去できない歯根内感染(intraradicular infection)や、歯根外感染(extraradicular infection)の除去または不活化が挙げられます。
外科的歯内療法介入の
タイミング
外科的歯内療法介入のタイミングとしては、主に2つが考えられます。
- 1つめは、通常の根管治療が終了した後も疼痛や腫脹などの臨床的な問題が解決していない場合。
- 2つめは、根管治療が終了した時点では臨床的な問題はなく、経過観察中にX線上で明らかな病変の拡大が認められる場合。
これらのほかにも、さまざまな理由で根管治療を行えない症例においては、根管治療を行わず、外科処置を行う場合があります。
外科的歯内療法の
治療法
①逆根管治療
歯肉を切開してから剥離して歯の根の先、根尖病巣を確認します。根尖を切除し、同時に根尖病巣を除去します。その後、切除した面に密閉性の高い材料を詰めます(逆根管充填)。縫合して止血を確認します。
逆根管治療は、根の先端にできた病変に対して行う外科治療です。マイクロスコープ下で、根の先端の除去・破折や未処置部分がないかの確認や、バイオセラミックスを充填して、その後縫合を行います。しかし、解剖学的理由により、逆根管治療ができない場合があります。その場合は、意図的再植術で治療を行います。
従来の歯根端切除術では、歯根の切断、逆根管形成および充填が不十分であったため、成功率が低い治療でしたが、全てのステップを確実に行えるようになった事で90%以上の成功率と多くの論文で報告されています。
病巣摘出
根尖3mm切除
切断面の確認
逆根管充形成
MATセメント充填
外科的歯内療法の
適応症
基本的には、精密根管治療を行って、可能な限り侵襲の少ない治療による治癒をめざします。それでも改善されない場合は、外科的歯内療法の適応となります。具体的には、以下のようなケースが適応症になりやすいです。
- ●根管が細すぎて、治療用の器具が入らない。:狭窄根管
- ●生まれつき複雑な根管であり、十分な消毒ができない。
- ●根っこの外側へ感染が進行している。:根尖孔外感染
- ●感染した治療器具・材料の根管内残存や根尖孔外への押し出し。
- ●治療器具の不適切な操作による根管の修復不能な傷。:ジップ・レッジ・パーフォレーションの形成
外科的歯内療法の
治療料金
前歯 | 100,000円 |
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小臼歯・大臼歯 | 120,000円 |
破折診断 | 20,000円(治療中に歯根破切を認めれら治療が中断となった場合のみの料金になります。) |