歯の亀裂
最近、8倍拡大鏡で見えてきた事の1つ
充填物(歯を削った後に詰める金属等)を除去すると、歯の内部に亀裂が入っている症例に遭遇します。
亀裂が入っていると
・亀裂が広がり、いずれ歯が割れる可能性がある
・亀裂から細菌感染
・原因不明の疼痛、しみ
等が起こりえます。
特に歯内治療後の歯に多くみられる傾向にあります。
いわゆる、根っこの治療、歯の神経取りますねと言われた歯です。
歯内療法後進国の日本では、今だ歯内治療後の歯は、もろくなると思われています。
実は、僕も1年前まではそうなんだろうなと思っていました。
しかし、もう何十年も前からそれは、間違っているという研究結果が出ています。
神経を取った歯が、物理的に弱くはならないと証明されています。
日本の歯科医師の多くは、その事を知らない。
だから、対処を行っていないので、歯が割れるんです。
歯内治療後の歯が抜歯になった原因
1位:破折 59%
2位:歯周炎(周囲の骨がなくなる、いわゆる歯周病) 32%
3位:根尖性歯周炎(根の先に膿がたまる) 9%
つまり、歯内治療を行った歯は、破折しないための対処をする必要があります。
なぜ破折するのか?
歯内治療の際に、歯の咬む面に穴を開けます。
この穴を大きく削り過ぎる。
そして、歯の根の管を削り過ぎる。
過剰切削も大きな原因
そして、歯内治療後の補綴処置(被せ物、詰め物)の選択
基本的に奥歯は、咬頭と言って、咬む面は全て金属で覆うことが推奨されます。
そうすると、歯は、いわゆる銀歯になります。
見た目は、悪いですが、歯を失わないためには、大事な事です。
見た目のために、善意で行った補綴治療が、歯を失う原因を作る事になるんです。
そして、もう一つ重要なポイントがあります。
歯内治療を行った後は、歯の土台を作り、その上に補綴処置をします。
この土台を「コア」と言います。
コア3種類
・メタルコア(最近では、ほとんど使用しない)
・レジンコア
・ファイバーコア
最も破折リスクを軽減するのが、「ファイバーコア」です。
歯の弾性と最も近く、しなるので歯が折れにくい
数年前に保険適用にもなりました。
ですが、聞くところによると、あまり使用されていないようです。
理由は、除去が難しいからでしょうね
除去?
治療が失敗し、再度、歯内治療を行う場合は、除去する必要があります。
また除去のため歯を削って、ますます破折のリスクが上がります。
日本は、再治療ありきで、治療する風潮があります。
なぜなら、歯内治療の質が低いからです。
日本の歯内治療の成功率は、約50〜60%と言われています。
しかし、専門医の成功率は90%以上
キチンとすれば、再治療はそう必要になりません。
とは言え絶対に除去しなくていいわけではないです。
除去は、他のコアに比べるとやや難しいかもしれませんが、道具、設備があればそう難しくありません。
削るのは非常に危険なので、超音波を使って除去します。
実際に除去が必要になった症例はありませんが、今後のため除去の練習をしてみました。
道具の力ってすごいな