超高齢化社会の今、歯を抜かない事が問題になることも
最近、高齢者の患者さんで、歯がボロボロな状態で放置されている方を見かける。
歯が根っこだけになって、その周りにプラークが大量に付着している。
もはや細菌の温床です。
※温床:細菌が繁殖しやすい環境
多くは、
「症状がないので、置いておきましょう」
と言われたと
患者さんにとっても歯を抜かれるのは、嫌にきまってます。
抜かなくていいと言われたら嬉しいのかもしれません
今はいいのかもしれませんが、今後「介護、寝たきり」状態になって、症状(痛み、腫れ)が出たらどうするんですか?
歯が自然に抜けて、誤って飲み込んだり(誤飲)、気管や肺の方へ落ちたり(誤嚥)したらどうしますか?
抜かなくていいと言った歯科医師は、責任をとって歯を抜きに行ってくれるんでしょうか?
無理です。
訪問診療で、そんなリスクのある抜歯は、やってくれません
「洗浄して様子見ましょう」
もしくは、
「入院して抜歯してもらいましょう」
と言われます。
自分でもそうすると思います。
何かあったら自分の責任ですから
ずっと治癒することなく、その歯のせいで苦しむことは、歯科医師なら容易に予測できます。
なので、患者さんの年齢などを考慮して、
「平均的には70過ぎると寝たきり、介護状態になる人がほとんどです。」
「通院できる今の内に抜いておきましょう」
と言うようにしています。
当たり前ですが、治療できる歯は選別して残します。
70歳近い人は、多くは何かの全身疾患を持っています。
その中でも多いのは、抗凝固薬の内服でしょうか。
血が止まりにくいから私は、抜歯できないと仰られる方が多いです。
実際、そこまで止まらない人は、わずかです。
止める術を知っていれば、ほとんど止まります。
そして、抜歯をしていいか、ダメかは主治医に対診しないとわかりません
歯科医師は、そこの判断はできないんです。
必ず、主治医に病状照会を書いて、意見をいただきます。
入院下での処置が必要なら、東近江総合医療センター口腔外科へ行ってもらいます。
でも、休薬や内服継続下で問題ないなら当院で抜歯します。
開業医の強みは、受診回数が少々増えても大丈夫という事です。
ですので、多くは一気に全部抜かず、何回かに分けて抜きます。
大学では、やむえず一気に10本抜いたりした事もありましたが、そのような場合は、なかなか血はとまりません(汗)
多くは、入院下ですので、夜中に起こされたりなども時々ありましたが・・・
この超高齢化社会の現在においては、歯を抜けない歯科医師も問題だろうと思います。
以前は、歯を抜く歯医者はダメとか言ってましたが・・・
抜かないといけないものは、抜かないといけないんです!
それが、患者さんのためですから